专利摘要:
本発明は、幹細胞または体細胞の胚芽細胞への分化をイン・ビトロで誘導するための方法であって、次の工程:前記幹細胞または体細胞を、それらの分化を可能にする培地で培養する工程、および前記培養培地から胚芽細胞を回収する工程を含み、前記細胞が、少なくともVasa遺伝子を含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された細胞である方法に関する。このようにして得られた胚芽細胞およびキメラ動物も本発明の目的である。
公开号:JP2011505853A
申请号:JP2010538598
申请日:2008-12-11
公开日:2011-03-03
发明作者:ジャック、サマル;ジャン‐ピエール、ルオー;ファブリス、ラビアル;フランツ、ブーアリエ;ベルトラン、ペイン
申请人:アンスティテュ ナショナール ド ラ ルシェルシュ アグロノミクInstitut National De La Recherche Agronomique;
IPC主号:C12N5-074
专利说明:

[0001] 緒論
本発明は、幹細胞または体細胞から胚芽細胞(germinal cells)をイン・ビトロで産生するための方法に関する。本発明はまた、得られるような胚芽細胞にも関する。優先的には、これらの細胞は目的の導入遺伝子を発現する。これらの胚芽細胞の受容体胚への注入により前記胚の生殖腺の定着が起こり、そのため、それらの胚芽細胞への目的の導入遺伝子を発現するキメラ動物を作製することが可能である。よって、そのようなキメラ動物はそれらの子孫にその導入遺伝子を伝えることができる。]
[0002] 背景技術
Vasa遺伝子発現は、生殖細胞(germ cells)の最も特異的なマーカーの1つであると確認された(Tanaka et al., 2000; Extavour and Akam, 2003)。この遺伝子は、キイロショウジョウバエ属(Drosophila)で最初に同定され、転写因子eIF4の相同体であるATP依存性RNAヘリカーゼ活性を有するDEADボックスRNA結合タンパク質をコードする(Lasko et al., 1988)。この遺伝子はDDX4と呼ばれることもある。]
[0003] この遺伝子およびその特異性は、後生動物において高度に保存され(Mochizuki et al., 2001)、ヒト(Castrillon et al., 2000)、マウス(Fujiwara et al., 1994)、ツメガエル属(Xenopus)(Komiya et al., 1994)、ゼブラフィッシュ(Yoon et al., 1997; Brat et al;, 2000)でも、腕足類(Sagawa et al;, 2005)、カキ(Fabioux et al., 2004)、プラナリア(Shibata et al., 1999)、ヒドラ(Mochizuki et al., 2001)、polyaechetes Platynereisおよびエレガンス線虫(C. elegans)(Shisa et al., 2001)でも見られる。]
[0004] ニワトリVasa相同体(Cvh)は2000年に同定され、クローニングされた(Tsunekawa et al., 2000)。]
[0005] ニワトリの生殖細胞は発生のごく初期に予め決定され、特異的マーカーであるVasaを特徴とする(Tsukenawa et al., 2000; Extavour and Akam, 2002)。これらの細胞は始原生殖細胞と呼ばれ、単離し、イン・ビトロで培養することができる(van de Lavoir, Nature, 2006)。また、これらの細胞は体細胞に分化させることもできる。
ニワトリでは、Cvh陽性細胞は第1卵割には早くも検出され、産まれたての卵で通常観察されるステージX(EG&K)胚ではおよそ30個の細胞が存在する。後のステージ2−3(H&H)では胚盤葉下層において約45〜60個の陽性細胞が同定され、ステージ4(H&H)では形態形成運動の結果として生殖三日月環の前方に200〜250個の陽性細胞が位置していた(Tsunekawa et al., 2000)。]
[0006] 始原生殖細胞は、胚クレスト(germinal crests)から誘導することができ、集まって胚形態になる。これらの細胞はイン・ビトロで維持することができるが;これらの細胞は胚幹細胞の後成的状態が異なる(Shiota et al., 2001; Reik et al., 2001)。]
[0007] ニワトリにおける胚形成時のマーカー特異的発現のパターンに関するより詳細な情報は、ニワトリ胚細胞の性質を確認するのに有用な分子マーカーの組合せに関するPCT/EP2007/052574に開示されている。]
[0008] 哺乳類においても同じような機構が観察される。マウスの胚芽細胞は、胚形成初期に準備される始原生殖細胞の創始集団から誘導される。始原生殖細胞は、胚卵黄嚢の最初の血液系統にも寄与する初期マウス胚領域である近位胚盤葉上層から発生する。]
[0009] ニワトリ胚幹細胞(cESC)は、前原始線条期(pre-primitive streak)(ステージIX−XII)胚盤葉細胞のイン・ビトロ培養物から発生した。ニワトリ胚幹細胞は、典型的なESCマーカー(例えばアルカリ性ホスファターゼ(AP))の存在、テロメラーゼ活性およびECMA−7、SSEA−IおよびSSEA−3を含む種々の特異的抗体に対する反応性を特徴とした(Pain et al., 1996; FR 94/12598; Pettite et al., 2004)。それらの哺乳類対応物の場合、これらの細胞は多能性であり、イン・ビトロでもイン・ビボでも3つの胚葉から分化した誘導体を生み出すことができる(Pain et al., 1996; Van de Lavoir et al., 2005)。]
[0010] しかしながら、イン・ビトロでは細胞維持後すぐに胚の挙動はなくなってしまう。]
[0011] イン・ビボでは、レシピエント胚へ注入すると、ES細胞は体細胞キメラを形成することができるが、宿主胚の生殖腺に効果的に定着することはできない。]
[0012] その一方、培養していない胚盤葉細胞や長期培養したニワトリ始原生殖細胞はそれらの生殖細胞系能力を維持する。イン・ビトロでのPGCの単離は、Vasaマーカーを発現する細胞の細胞スクリーニングに基づいて行われて成功している。]
[0013] キメラ動物およびトランスジェニック動物の産生は、イン・ビトロで操作することができる細胞を得ることから始まる。しかしながら、始原生殖細胞は、ES細胞ほど容易に外因性DNAで形質転換させることができない。特に、リポフェクション系薬剤(例えば、Lipofectamin、lipofectamin 2000、(Invitrogen R)、Fugene(Roche)、PEI...)を用いたトランスフェクションの効率は、ES細胞のトランスフェクションにおいて得られる効率と比べてむしろ低い。さらに、ネオマイシン(Neomycine)(G418)、ハイグロマイシン(Hygroycine)、ピューロマイシン(puromycine)などの選択薬の使用は、PGCよりもES細胞において効果が高く、これは前記PGCの増殖がES細胞よりも遅いためである。イン・ビトロでは、安定なクローンはPGCからよりもむしろES細胞から得る方が容易であった。]
[0014] そのため、トランスジェニック胚芽細胞の作出は、形質転換させることができ、かつ、イン・ビトロで胚芽細胞に分化することができるES細胞を培養し単離することから始まる。これらのトランスジェニック胚芽細胞は、レシピエント胚に生殖腺を定着させるために用いられ、このレシピエント胚はキメラ動物において発達し、子孫にまで伝わり得る遺伝子改変を有する。]
[0015] マウスおよび他の哺乳類では、この問題は全く同じではない。]
[0016] ネズミ胚幹細胞は、胚盤胞期胚の内細胞塊から1981年に初めて単離された。ネズミ胚幹細胞は、イン・ビトロでの培養下で何継代にもわたって維持することができる。]
[0017] 胚に注入されると、ESCは、3つ総ての胚葉から誘導される組織および生殖細胞系をもたらすことができる。研究により、ESCは体細胞培養系を自然発生的に形成させることにより胚発生特性を繰り返すことができることを示すことに成功した。]
[0018] mESCからのマウス始原生殖細胞の発生は無添加培地での7日の培養後に観察された(Hubner et al, Science, 2003; Geijsen, Nature, 2004)。この自然発生的分化はヒトESCでも観察された。]
[0019] また、マウスESCは、減数分裂を受け、雌雄両方の配偶子を形成することができる培養始原生殖細胞を生み出すことができることも示されている。]
[0020] しかしながら、これらのES由来生殖細胞および配偶子の十分な潜在能力はまだ証明されていない。]
[0021] さらに、このようなイン・ビトロで得られる胚芽細胞の割合は低いため、血清濃度が低く、サイトカインおよび増殖因子を含まない特異的分化培地での分化プロトコールに供する前に、細胞を選別し、その後濃縮して増殖培地でイン・ビトロで増殖させる必要がある。]
[0022] 最終的な生殖細胞表現型を誘導するために、トランスフェクトし、選別したES細胞を増殖させ分化させるという連続的段階を用いることが最も重要である。]
[0023] 従って、非胚芽細胞から胚芽細胞をイン・ビトロで得るための簡単で効率的な方法は先行技術には存在しないと思われる。]
[0024] 本発明は、幹細胞または体細胞の胚芽細胞への分化をイン・ビトロで誘導するための方法であって、これらの細胞を遺伝学的に改変すること、およびその形質転換細胞を適当な培地で培養することによる方法に関する。幹細胞は、成体幹細胞など、胚幹細胞であっても非胚幹細胞であってもよい。]
[0025] 本発明者らは、イン・ビトロで培養したニワトリES細胞の、これらの細胞への外因性遺伝子「Vasa」の導入からなる単一遺伝子改変により、胚芽細胞への分化を誘導することができることを見出した。]
[0026] 哺乳類胚幹細胞も、これらの細胞への外因性遺伝子「Vasa」と特異的microRNAの導入からなる遺伝子改変により、胚芽細胞への分化を誘導することができる。]
[0027] さらに、本発明は、ニワトリまたは哺乳類由来の体細胞の、胚芽細胞への分化を誘導するための方法であって、遺伝子「Vasa」と特異的microRNAの両方を含んでなる遺伝的構造で前記細胞を形質転換することによる方法を提供する。]
[0028] 本発明の方法を用いて得られる胚芽細胞は、胚芽細胞特異的マーカーに特有の発現パターンを示す;特にニワトリ細胞は、PCT/ EP2007/052574に記載されるような特異的マーカーの発現によって特徴付けられる。]
[0029] 本発明の方法を用いて得られる胚芽細胞は、胚芽細胞を胚に注入するとそれらの胚芽細胞は生殖腺に定着することができるという事実によっても特徴付けられる。]
[0030] この方法は、トランスジェニック胚芽細胞、および子孫に遺伝子改変を伝えることができるキメラ動物を作出するのに特に有用である。]
発明の具体的説明

[0031] 本発明は、幹細胞または体細胞の胚芽細胞への分化をイン・ビトロで誘導するための方法であって、次の工程:
前記幹細胞または体細胞を、それらの分化を可能にする培地で培養する工程、および
前記培養培地から胚芽細胞を回収する工程
を含んでなり、
前記幹細胞または体細胞が、少なくともVasa遺伝子を含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された細胞である方法に関する。]
[0032] 細胞分化を可能にする培地での細胞の培養は当技術分野で公知である。当業者は適当な培地および/または適当な増殖条件を選択することができる。]
[0033] 適当な培地は、特に、血清が低率(特に血清が10%未満)である増殖培地である。当業者であれば、特定のサイトカイン、増殖因子などを添加または排除することによって、細胞の分化を好適にする(favorize)方法を知っている。]
[0034] ニワトリ胚細胞の分化の促進に適した特定の培地は以下の実施例において示す。]
[0035] 分化した胚芽細胞を回収する工程は当業者に周知であり、FACS細胞選別などのいくつかの方法によって実施することができる。]
[0036] 「形質転換された」または「形質転換」とは、外因性核酸の細胞への組込みを意味し、この新規遺伝子獲得は一時的であるか(遺伝子を有するベクターが取り除かれる場合)または永久的である(外因性DNAが染色体に組み込まれる場合)。これらの用語は、「トランスフェクトされた」および「トランスフェクション」とは区別されずに用いられる。形質転換されている細胞は「宿主細胞」とも呼ばれる。]
[0037] 細胞の形質転換は種々の技術によって実施することができる。当業者であれば、形質転換する必要がある細胞についてより適当な技術を選択する方法を知っている。]
[0038] 特に、ニワトリES細胞は、Pain et al., 1996およびPain et al., 1999に記載されている方法に従ってトランスフェクトすることができる。]
[0039] ネズミES細胞は、Robertson et al., 1987に従っておよびエレクトロポレーションまたはリポフェクションのいずれかを用いるいくつかの独立プロトコールに記載されているようにトランスフェクトすることができる。]
[0040] 周知の体細胞性ヒト細胞系統である体細胞性ヒトHela細胞(ATCCCCL 2)も当業者に周知の技術(リン酸カルシウム沈殿法または様々な企業(Roche、Invitrogen、BioRadなど)から提供されている様々なリポフェクション剤を用いたリポフェクションなど)に従って形質転換することができる。]
[0041] 本発明による外因性遺伝的構造は、5’から3’への方向に、少なくとも:
形質転換細胞において機能する発現プロモーター、
Vasa遺伝子(コード配列の総てまたは一部を含み、総ての場合において、細胞の胚芽細胞への分化が得られるように機能する)、
形質転換細胞において機能する終結配列
を含んでなるカセットを意味する。]
[0042] 遺伝的構造を達成するために用いられる総ての分子生物学的技術は、Sambrook, Fritsch and ManiatisによるMolecular cloning: a laboratory manual, 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989に十分に記載されている。]
[0043] 本発明において用いる、用語「Vasa遺伝子」は、Vasaファミリーの遺伝子をコードする、あらゆる種由来のいかなる遺伝子またはコード配列をも意味する。Vasaファミリーの系統樹を図1に示す。より特には、Vasa遺伝子は以下:
GenBankアクセス番号D14859のマウスのVasa遺伝子「DDX4」(Fujiwara et al., 1994);
GenBankアクセス番号AB004836のニワトリの遺伝子「Cvh」(Tsunekawa et al., 2000);
GenBankアクセス番号S75275のラットのVasa遺伝子(Komoya and Tanigawa, 1995);
GenBankアクセス番号S69534のツメガエル属のVasa遺伝子(Komiya et al., 1994);
GenBankアクセス番号AB005147のゼブラフィッシュのVasa遺伝子(Yoon et al., 1997)
のいずれかを意味する。] 図1
[0044] 本発明によれば、カセットに含まれるVasa遺伝子は、宿主細胞と同じ種のものであってもよいし、宿主細胞と異なる種のものであってもよい。]
[0045] 特に、幹細胞または体細胞は、
ニワトリ、マウス、ヒト、または任意の種の任意のVasa遺伝子、特に図1の系統樹に示された遺伝子(しかし、Vasaファミリーに属する本明細書には示されていない任意の遺伝子も含まれる)、あるいは
Vasa遺伝子のDNA配列と少なくとも50%の相同性を有する任意の変異体、またはVasaによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも30%の同一性を有するタンパク質をコードする変異体:
を含んでなる構造で形質転換することができる。] 図1
[0046] 実施例では本発明をニワトリVasa遺伝子に関して記載する。しかしながら、これは本発明によるより一般的な意味を有し、他の種の対応する遺伝子を含む。当業者は、Vasa遺伝子のGenBank参照配列を用いて、他の種における等価の遺伝子を決定することができる。]
[0047] 相同配列およびそれらの相同性率の同定手段は当業者に周知であり、特に、ウェブサイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/上でそのウェブサイト上に示されたデフォルトパラメーターを用いて利用することができるBLASTプログラムが挙げられる。得られた配列は、例えばプログラムCLUSTALW(http ://www.ebi.ac.uk/clustalw/)を利用し、これらのウェブサイト上に示されたデフォルトパラメーターを用いて、活用する(アラインさせる)ことができる。]
[0048] PFAMデータベース(protein families database of alignments and hidden Markov models http://www.sanger.ac.uk/Software/Pfam/)は、タンパク質配列のアライメントの多数のコレクションである。各PFAMは、マルチプルアライメントを視覚化し、タンパク質ドメインを考察し、生物間の分布を評価し、他のデータベースにアクセスし、既知のタンパク質構造を視覚化することを可能にする。]
[0049] 分化した胚芽細胞を得るためのこの方法は、イン・ビトロで培養した種々の細胞型に適用することができる。]
[0050] 特に、この方法は、ニワトリ胚幹細胞(cESC)、優先的には、前原始線条期(ステージIX−XII)胚盤葉細胞のイン・ビトロ培養物から生じた細胞に適用することができる。これらの細胞は、Pain et al., 1996およびPain et al., 1999に記載されている技術に従って得ることができる。]
[0051] 哺乳類の胚または成体幹細胞も、本発明による方法を用いることによって胚芽細胞へと分化させることができる。これらの細胞は、優先的には非ヒト細胞である。これらの細胞は、優先的には胚幹細胞であり、より優先的にはネズミ胚幹細胞である。ネズミES細胞は科学文献において詳しく記載されている。]
[0052] 驚くべきことに、本発明による方法は、非胚の体細胞にも適用することができる。体細胞には、生殖細胞系細胞を除く、体を作るいかなる細胞をも含まれる。「体細胞」とは、イン・ビトロでの培養のために体から採取された分化非生殖細胞、さらに培養下で維持された不死化非生殖細胞系統も含む。体細胞は、あらゆる種の細胞であってもよい(特にヒト細胞、ネズミ細胞、またはニワトリ細胞)。不死化ヒト細胞の例は、「HeLa」と呼ばれる細胞系統(ATCCCCL−2)である。]
[0053] 本発明の好ましい実施形態において、細胞、特に体細胞および哺乳類幹細胞は、ヒトmicroRNA−34c、もしくは成熟micro−RNA−34cと少なくとも90%の相同性を示すそのようなmicroRNAの相同配列、またはそのようなmiRNAもしくは相同体をコードするDNA配列を含んでなる遺伝的構造で形質転換される。]
[0054] microRNA(miRNA)は約21〜23ヌクレオチドの一本鎖RNA分子であり、遺伝子発現を調節する。miRNAは、DNAから転写されるがタンパク質へは翻訳されない遺伝子によってコードされる、すなわち非コードRNAであり;その代わりとしてそれらの遺伝子はpre−miRNAとして知られる一次転写産物からpre−miRNAと呼ばれるショートステムループ構造へ、そして最終的には機能的miRNAへとプロセッシングを受ける。成熟miRNA分子は、1以上のメッセンジャーRNA(mRNA)分子と部分的に相補的であり、それらの主な機能は、遺伝子発現をダウンレギュレートすることである。]
[0055] microRNAは、エレガンス線虫(Caenorhabditis elegans)において発生タイミングのレギュレーターとして初めて同定された(Lee et al. 1993; Bartel 2004)が、microRNAとの用語は、2001年に一連の3つの科学論文において採用された(2001年10月26日)。これらのRNAは多様な動物で同定されており、一部は線虫(C. elegans)からキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を通じてホモ・サピエンス(Homo sapiens)まで保存されている(Pasquinelli et al. 2000; Lagos-Quintana et al. 2001; Lau et al. 2001; Lee and Ambros 2001)。]
[0056] ヒトmicroRNA−34cは、組織特異的に発現されるmicroRNAを同定するための、200種のmiRNAのパネル(mirVana miRNA probe set、Ambion社製)を用いた通常のスクリーニングから単離された(Baskerville & Bartel, 2005)。異なる分化ステージの種々のヒト組織が試験された。総ての低分子量RNAは、Ambion社によって提供されているFlashPage kit(参照番号131000)およびQiagen社製Rneasy Mini kit(参照番号74104)などのプロトコールを用いて得られた。低分子量RNAは、一度単離されると、標識され、製造業者に従ってスライドのハイブリダイゼーションに用いられた。]
[0057] このスクリーニングから単離されたmiRNAのうち、miRNA mir−16、mir 15b、mir−106a、mir−17−5pは胚芽細胞において発現されることが確認されたが、普遍的発現も示した。]
[0058] miR34cだけが胚芽細胞に限定された発現を示すと思われる。この結果はノーザンブロットおよびRT−PCR解析の両方によって確認された。]
[0059] ヒトpre−microRNA−34cの配列および成熟microRNA−34cの配列を本願明細書ではそれぞれ、配列番号1および配列番号2として示す。優先的には、相同配列は、配列番号2と少なくとも90%の相同性を有するものである。]
[0060] ニワトリおよび哺乳類幹細胞、またはニワトリおよび哺乳類体細胞を胚芽細胞へと分化させるために、Vasa遺伝子およびmicro−RNA 34c、または前記microRNAをコードするDNA配列の連続発現を可能にする二段階法を使用することは、Vasa遺伝子単独の発現に比べて最良の結果をもたらす。これはニワトリESCの分化についてもいえる(実施例3参照)。]
[0061] 本発明の目的においてはあらゆる種のいかなるmiRNA−34cをも用いることができる。miRNA−34cは宿主細胞と同じ種のものであってもよいし、宿主細胞と異なる種のものであってもよい。]
[0062] microRNA−34cをコードするDNA配列はVasa遺伝子を含んでなる同じ遺伝的構造に組み込まれていてよく、またはもう1つの遺伝的構造の一部であってもよい。特に、前記コード配列は、独自のプロモーター配列および終結配列を有することが好ましい。]
[0063] 両方のコード配列が2つの異なるカセットの一部である場合、両方のカセットは宿主細胞に同時にまたは別々に、任意の順序で導入することができる。]
[0064] これまでに明記したとおり、本発明による外因性遺伝的構造は、宿主細胞において機能する発現プロモーターを含んでなる。このプロモーターは、普遍的プロモーターおよび組織特異的プロモーターの中から選択することができる。]
[0065] 普遍的プロモーターは、いかなるタイプの細胞においても機能するものであり、例えば、遺伝子CMV、TK、SV40、β−アクチン、PGK、E2Fa等のプロモーターである。
組織特異的プロモーターは、以下:
胚幹細胞において特異的に機能するプロモーター:
−Oct4(哺乳類)、1P06(ニワトリ)、Nanog、Rex1、Utf1
−Sox1、Sox2、Sox3、Nestin
−Gcnf、Eomes
−Ens1
体細胞において特異的に機能するプロモーター
の中から選択することができる。]
[0066] 優先的には、プロモーターは誘導可能であり、増殖培地に誘導因子を添加することにより容易に誘導することができる。これらのプロモーターは当技術分野で周知であり、それらの配列を使って一般的なNCBIまたはEMBL遺伝子データベースで検索することができ、これらのプロモーターは引用することにより本明細書の一部とされる。例えば、誘導プロモーターは、テトラサイクリン誘導プロモーターである。]
[0067] 本発明の特定の目的は、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子を発現するトランスジェニック胚芽細胞を得ることである。]
[0068] よって、本発明の好ましい実施形態によれば、前記幹細胞または体細胞は、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子で形質転換される。]
[0069] 本発明の第1の態様において、Vasa遺伝子および目的遺伝子は、同じ遺伝的構造に含まれる。]
[0070] 本発明のもう1つの態様において、Vasa遺伝子および目的遺伝子は、2以上の異なる遺伝的構造の一部である。それらのカセットは、宿主細胞に同時にまたは別々に導入することができる。]
[0071] 前記細胞の形質転換は、当業者に公知のいずれの技術によっても実施することができ、形質転換すべき細胞型に従ってより適当な技術を用いることに留意する。]
[0072] 本発明の好ましい態様によれば、前記細胞の形質転換は、胚芽細胞への分化を起こさせる培養工程の前に行われる。]
[0073] 目的遺伝子は、当業者によって発現が望まれる任意の遺伝子である。目的遺伝子によって発現される遺伝子産物は、翻訳または非翻訳遺伝子産物例えばタンパク質、RNA、siRNA、リボザイムであり得る。本発明の本目的において、好ましい目的遺伝子は、タンパク質、特には生殖ホルモン、成長ホルモン、抗体もしくはそのフラグメント、増殖因子、膜受容体、またはウイルス受容体をコードする遺伝子の中から選択される。]
[0074] 前記目的遺伝子はプロモーターの制御下で発現される。前記プロモーターは普遍的であってもよいし組織特異的であってもよく、場合によって誘導可能である。]
[0075] 本発明の好ましい態様において、目的遺伝子の発現を制御するプロモーターは、胚芽細胞において特異的に機能する。胚芽細胞特異的プロモーターは例えば:
Vasa遺伝子のプロモーター
遺伝子Nanoz、Dazl、Pumilio、Staufen、Tudor等のプロモーター
遺伝子Stella、Fragilis等のプロモーター
Blimp1のプロモーター(このプロモーターは別の発生ステージではあるがリンパ球Bにおいても特異的に機能する)
である。]
[0076] 適当な培地は形質転換細胞の細胞型の機能により決定される。胚芽細胞への分化を可能にする適当な培地は、血清濃度が低く、増殖因子を含まないことを特徴とするが、この増殖因子は増殖培地には存在する。]
[0077] この定義された条件において、最も高い生殖細胞分化率は、前記細胞の適当な培地へのペーシング(pacing)の2〜5日後に得られる。BNDF、BMPなどの特定の増殖因子をさらに添加することにより、このような胚芽細胞分化動態および効率を改善することができた。]
[0078] 優先的には、適当な培養培地は分化誘導因子を含有する。このような分化誘導因子の例は:
BMPファミリーに属する因子、例えば、BMP4、BMP8、BMP7、BMP2、BMP15等
TGFβファミリーに属する因子、例えば、TGFβ、nodal、アクチビン(activine)、GDF9等
受容体c−Retのリガンド、BDNF、NT3、NT4(ニューロトロフィン−3、−4)等
である。]
[0079] 当業者ならば、これらの因子の濃度を決定するのは容易である。]
[0080] もう1つの態様において、本発明は、得ることができる単離された胚芽細胞、および本発明による方法によって得られる単離された胚芽細胞に関する。]
[0081] 分化誘導を受ける始原幹細胞または体細胞に応じて、これらの胚芽細胞は、あらゆる種、特にニワトリまたは哺乳類のものである。]
[0082] これらの細胞は、特異的マーカーの発現および/または胚に注入されると生殖腺に定着する能力によって特徴付けることができる。]
[0083] 本発明の好ましい態様において、本発明によって得ることができるような胚芽細胞は、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる産物を発現する。特に前記遺伝子産物は目的のタンパク質である。]
[0084] 本発明はまた、少なくとも1つのVasa遺伝子を含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された非哺乳類胚幹細胞に関する。]
[0085] もう1つの態様において、本発明は、少なくとも1つのVasa遺伝子と1つのmiRNA−34cを含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された哺乳類の胚または成体幹細胞に関する。優先的には、哺乳類細胞は非ヒト細胞であり、より優先的にはネズミ細胞である。優先的には、幹細胞は胚起源のものであり、より優先的にはネズミES細胞である。]
[0086] もう1つの態様において、本発明は、少なくとも1つのVasa遺伝子と1つのmiRNA−34cを含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された体細胞、すなわち非幹、非胚芽細胞に関する。]
[0087] 体細胞は、あらゆる種の細胞であってもよい(特にヒト細胞、ネズミ細胞、ニワトリ細胞)。体性不死化ヒト細胞の例はHela細胞である。]
[0088] 本発明はまた、キメラ非ヒト動物を得るための方法であって、
本発明の方法を用いて得られる胚芽細胞、または
本発明による形質転換幹細胞または体細胞の分化後に得られる胚芽細胞
が胚に注入される方法にも関する。]
[0089] キメラ動物またはキメラは、遺伝学的に異なる細胞の2種以上の異なる集団を含む動物である;ここで、体細胞は、イン・ビトロで得られた胚芽細胞が注入された胚から生じ、これらの細胞は、受容体胚の細胞とは遺伝学的に異なっている。優先的には、胚に注入される胚芽細胞は受容体胚と同じ種のものである。]
[0090] キメラ動物の産生は、この20年の間に開発された周知の技術である。]
[0091] 本発明のもう1つの目的は、本発明による方法によって得られるキメラ非ヒト動物である。]
[0092] 本発明の特定の態様において、本発明による方法によって得られるキメラ非ヒト動物は、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる少なくとも1つの遺伝子産物を発現する。]
[0093] 本発明のもう1つの目的は、本発明によるキメラ動物の子孫であって、前記動物の少なくとも1種の細胞は、vasa遺伝子またはvasa遺伝子とmiRNA−34cを含んでなり、かつ/または少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる産物を発現するキメラ動物子孫である。]
[0094] 実施例1:ニワトリVasa遺伝子を含んでなる遺伝的構造でのニワトリ胚幹細胞の形質転換および胚芽細胞への細胞の分化
白色レグホーン(White Leghorn)およびRed-Naked neck雌鶏の受精卵を地元の畜産家から購入し、加湿インキュベーターにおいて37℃でインキュベートした。]
[0095] cESC細胞を維持し、Pain et al., 1996;、Pain et al, 1999に記載のとおり、増殖培地(PM)でトランスフェクトした。ネオマイシンを200μg/mLで8日間毎日添加した後、安定なクローンを得た。]
[0096] a)Cvhの外因性発現は生殖細胞関連遺伝子発現を誘導し、多能性関連遺伝子発現を喪失させた
融合GFP::Cvh構築物をcESCに導入した。トランスフェクションおよび薬剤選択後、クローンを得、プールし、細胞をFACSにより分類した(レーザーCOHERENT(登録商標)Entreprise(商標)IIC(488nmおよびUV351〜364nm)を装備したFACS Vantage(商標)SEオプションDiva)。およそ0.5%の細胞は高度にGFP陽性であった。]
[0097] GFP::Cvh高cESC亜集団とGFP::Cvh陰性cESC亜集団の間には大きな形態的相違は見られない。
GFP::Cvh陽性細胞は、イン・ビトロで増殖条件下で増殖させることができ、さらに濃縮するためにこの場合も容易に分類することができる。]
[0098] 図2は、3つの分類細胞集団において定量RT−PCRにより評価した遺伝子発現レベル示す:
GFP::Cvh高細胞
GFP::Cvh中位細胞
GFP::Cvh陰性細胞] 図2
[0099] cPouV(1P06とも呼ばれる;この配列は、PCT/EP2007/052572において配列番号1として開示されている)の発現は、Cvhを発現するcESCにおいて用量依存的に強くダウンレギュレートされる(GFP::Cvh高cESCではGFP::Cvh陰性cESCと比べて最大60%低下)ようである。]
[0100] このダウンレギュレーションは、AP、Strat8などのいくつかの特異的生殖細胞マーカーの誘導と、さらに内因性Cvh発現と同時に観察される。]
[0101] しかしながら、これらの条件では、生殖細胞の極めて特異的なマーカーであるcDazlの発現は、総てのGFP::Cvh亜集団において検出されない。]
[0102] 結論として、Cvhの高い外因性発現は、cESCによって支えられており、遺伝子発現変化、特に多能性関連遺伝子の強いダウンレギュレーションをもたらす。]
[0103] b)Cvhを過剰発現するcESCは、Dazlを発現する生殖細胞へと分化することができる
GFP::Cvh高cESCおよびGFP::Cvh陰性cESCを、低血清濃度(5%)の増殖因子およびサイトカインを含まない適当な分化培地に播種した。]
[0104] これらの条件下では、cPouV、cNanogおよびcSox2などの多能性関連遺伝子の発現低下によって観察されるように、GFP::Cvh陰性細胞は通常分化する。生殖細胞マーカーの発現の中等度の増加も観察され、cDazl発現は検出されず、Cvhの生体内レベルのままである。これは図3に示されている。] 図3
[0105] 同じ条件で播種したとき、図3に示されるように、GFP::Cvh高cESCは発現パターンにおいて様々な変化を示す:
多能性関連遺伝子は発現されたままである
生殖細胞特異的マーカーは劇的に誘導される(cDazlおよび内因性Cvhを含む)
Strat8およびScyp3などの減数分裂前期の発現マーカーの強く著しい誘導がもたらされる
興味深いことに、ヒナPGC誘導に関与することが分かっているSdflの発現も強く誘導される。] 図3
[0106] 形態学的には、分化培地に播種されたGFP::Cvh高cESCは、PGCの典型的な円形形態を示す。]
[0107] 実施例2:ニワトリES細胞の分化後に得られる生殖細胞系細胞の特性評価
a)ステージX胚へのcESCの注入
GFP::Cvh高cESCのイン・ビボでの潜在能力を評価するために、増殖培地(PM)または分化培地(DM)のいずれかにおいて維持したこれらの細胞を、これまでに記載されている手順に従ってレシピエントステージX胚に注入した(Pain et al., 1996)。]
[0108] レシピエント胚に6Gyで照射した(コバルト線源)。卵の外側部に小窓を作り、卵殻膜を取り除いた。1〜3μl中500〜2000個の細胞を、20μlホウケイ酸塩マイクロピペットを用いて胚下腔に注入した。二重の卵殻膜で窓を閉じ、Visulin(Hartmann NO 685721/3)1片で補強した。
卵を12〜15日間インキュベートした。
b)GFP::Cvh高cESCは高効率で胚生殖腺に定着することができる
胚を13〜15日間インキュベートし、異なる胚除去体細胞組織(心臓および腎臓および生殖腺など)でGFP::Cvh陽性細胞の存在をゲノムと発現の両方のレベルにおいて解析した。モック培地を注入した胚とこれらの細胞を注入した胚では生存率(およそ8%)は同じである。]
[0109] ゲノムPCR解析により、増殖培地条件および分化培地条件で維持したGFP:Cvh高cESCを注入した胚それぞれの70%および50%においてGFP:Cvhシグナルの存在を検出した(図4)。
非注入対照胚は全くシグナルを示さない。] 図4
[0110] 3種類のキメラに識別される:
体細胞キメラ胚(SCE)(前記シグナルが体細胞組織でのみ検出される場合)
混合キメラ胚(MCE)(前記シグナルが体細胞組織と生殖腺の両方において検出される場合)
生殖細胞系キメラ胚(GCE)(前記シグナルが注入された胚の生殖腺でのみ検出される場合)
GFP::Cvh高cESCおよびGFP::Cvh陰性cESCを増殖培地(PM)または分化培地(DM)のいずれかにおいて5日間維持した後、レシピエントステージX胚に注入した。
以下の表1では、得られた各キメラ種:SCE(体細胞キメラ胚)、GCE(生殖細胞系キメラ胚)、MCE(混合キメラ胚)の詳細な割合を示している。]
[0111] ]
[0112] 分化培地で培養したGFP::Cvh高cESC細胞は強い生殖腺定着を示し、得られたのは生殖細胞キメラ胚66,7%、体細胞キメラ胚はわずか11,1%である(表1)。これらの細胞の「生殖細胞配向」が明らかに示されている。]
[0113] 増殖培地で維持した同じ細胞ではGCE20%、MCE40%およびSME40%にしかならない。]
[0114] この結果は、適当な条件で培養したGFP::Cvh高cESCの強い生殖細胞向性を明示している。]
[0115] このゲノム解析に加えて、ゲノム解析に用いなかった1つの残る生殖腺でin situハイブリダイゼーションを行った。このハイブリダイゼーションではcDAzl陽性生殖細胞の局在に対応した皮質領域におけるGFP陽性細胞の存在が明らかになった。]
[0116] 結論として、これらの結果は、Cvh改変cESCは生殖細胞に誘導され、イン・ビボで生殖腺に定着することができ、同時にそれらの体細胞分化可能性がなくなることを示している。]
[0117] 実施例3:ニワトリESCにおけるmiR34cおよびvasaの同時過剰発現
GFP:Cvh細胞を、miR34cまたは陰性対照として、pmiRを発現する発現ベクターでトランスフェクトする。これらの細胞におけるmiR34cの過剰発現により、生殖細胞マーカーのアップレギュレーションが分かる。]
[0118] これまでに示したように、ニワトリ胚幹細胞(cESC)におけるCvh(ニワトリVasa相同体)の過剰発現は、これらの細胞において生殖細胞表現型を出現させる(上記参照)。
これらの細胞では、miR34cの過剰発現後、次の特徴を観察することができる:
生殖細胞特異的マーカーのより強い発現(図5A)、
多能性マーカーにおけるわずかな増加(cPouvおよびNanog)、
他の系統限定マーカーの変化なし、
生殖細胞マーカーの増加(図5B)。] 図5A 図5B
[0119] miR34−cは、vasa遺伝子でトランスフェクトしたcESCの生殖細胞分化を増進することにより生殖細胞表現型に作用していると我々は結論付ける。]
図面の簡単な説明

[0120] 異なる種のVasa遺伝子間の配列相同性率の表。
GFP/Cvh陰性cESC、GFP/Cvh中位cESCおよびGFP/Cvh高cESCの発現特性。異なる亜集団について定量RT−PCRによりレベルを評価した。対照GFP/Cvh陰性cESC集団におけるレベルを任意に値1とした。各サンプルを二連で行った。5回の独立した試験では同じような結果を得た。
GFP/Cvh陰性cESCおよびGFP/Cvh高cESCの分化動態。(A)試験の模式図。(B−C)5日の分化過程中の発現レベル。0,5x106細胞を10cm皿に播種し、低血清濃度(5%)の増殖サイトカインを含まない分化培地で5日間培養した。胚芽関連遺伝子の発現レベルを定量RT−PCRにより評価した。各遺伝子について、T0におけるレベルを値1とした。各サンプルを二連で行った。2回の独立した試験では同じ結果を得た。
宿主胚の定着可能性:試験の模式図。
miRNA−34cをさらに発現するGFP/Cvh細胞の発現特性。]
权利要求:

請求項1
幹細胞または体細胞の胚芽細胞への分化をイン・ビトロで誘導するための方法であって、次の工程:前記幹細胞または体細胞を、それらの分化を可能にする培地で培養する工程、および前記培養培地から胚芽細胞を回収する工程を含んでなり、前記幹細胞または体細胞が、少なくともVasa遺伝子を含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された細胞である、方法。
請求項2
前記幹細胞または体細胞が、ニワトリ胚幹細胞(cESC)である、請求項1に記載の方法。
請求項3
前記幹細胞または体細胞が、前原始線条期(ステージIX−XII)胚盤葉細胞のイン・ビトロ培養物から生じたニワトリ胚幹細胞である、請求項2に記載の方法。
請求項4
前記幹細胞または体細胞が、非ヒト哺乳類胚幹細胞である、請求項1に記載の方法。
請求項5
前記幹細胞または体細胞が、体細胞である、請求項1に記載の方法。
請求項6
前記幹細胞または体細胞が、microRNA−34cを含んでなる遺伝的構造で形質転換される、請求項4または5に記載の方法。
請求項7
前記幹細胞または体細胞が、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子で形質転換される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
請求項8
前記目的遺伝子が、胚芽細胞において機能する組織特異的プロモーターの制御下で発現される、請求項7に記載の方法。
請求項9
適当な培養培地が、分化誘導因子を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
請求項10
前記分化誘導因子が、BMPファミリーに属する因子、TGFβファミリーに属する因子、受容体c−Retのリガンド、BDNF、NT3およびNT4からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
請求項11
請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって得られる胚芽細胞。
請求項12
少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる産物を発現する、請求項7または請求項8に記載の方法によって得られる胚芽細胞。
請求項13
少なくとも1つのVasa遺伝子を含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された、非哺乳類胚幹細胞。
請求項14
少なくとも1つのVasa遺伝子と少なくとも1つのmiRNA−34cとを含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された、非ヒト哺乳類胚または成体幹細胞。
請求項15
少なくとも1つのVasa遺伝子と少なくとも1つのmiRNA−34cとを含んでなる外因性遺伝的構造で形質転換された、体細胞。
請求項16
キメラ非ヒト動物を得るための方法であって、請求項11もしくは請求項12に記載の、または請求項13〜15のいずれか一項に記載の細胞の分化後に得られる胚芽細胞が、胚に注入される、方法。
請求項17
請求項16に記載の方法によって得られるキメラ非ヒト動物。
請求項18
請求項16に記載の方法によって得られるキメラ非ヒト動物であって、前記キメラ動物の少なくとも1種の細胞が、少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる少なくとも1つの産物を発現する、キメラ非ヒト動物。
請求項19
前記動物の少なくとも1種の細胞が、vasa遺伝子またはvasa遺伝子とmiRNA−34cとを含んでなり、かつ/または少なくとも1つの目的の外因性遺伝子によってコードされる産物を発現する、請求項17または18に記載のキメラ動物の子孫。
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